この記事では、プロ野球選手の50m走の記録やその真偽、また足の速さがどのように競技に影響しているかについて詳しく解説していきます。
プロ野球選手は走るのが速いのか?どうしても陸上選手なんかと比べてしまいますよね
プロ野球選手の足の速さと50m走ランキングについて解説
皆さん、2023年WBC準決勝の劇的な逆転勝ちのシーンをご存じでしょうか。この試合では、村上宗隆選手が決定打を放ち、一塁ランナーの周東佑京選手が驚異的なスピードでホームに駆け込みました。この場面で周東選手の足の速さが改めて注目され、彼の50m走記録は「5.7秒」と言われています。
ただ、ここで注目すべきは、陸上の50m走日本記録です。朝原宣治さんが2002年に記録した「5秒75」が日本記録とされています。つまり、周東選手の記録は、陸上のトップアスリートとほぼ同等ということです。これには疑問を感じざるを得ません。
さらに、プロ野球選手の50m走記録を見ると、他にも5秒台の記録が頻繁に登場します。例えば、DeNAの早川大輔選手は「5.3秒」とされています。これが正しいならば、世界記録に匹敵するタイムです。しかし、これらの記録が正確ではない理由は、計測方法に問題があるからです。
計測方法の違いと誤差
プロ野球ではキャンプなどで行われる50m走の計測が主に手動で行われています。一方、陸上競技では精密な機械を使用して計測を行うため、誤差がほとんどありません。手動計測の場合、コーチやスタッフがストップウォッチを使用しますが、反応速度の差が記録に影響を与えます。この誤差が、プロ野球選手の記録が実際より速く見える原因と考えられます。
こうした背景から、プロ野球選手の50m走記録に対する疑念が生じていますが、手動計測が一般的である野球界の特性を考慮すると、完全に否定するのも難しい問題です。
テレビ番組「超プロ野球ULTRA ULTRAスプリントマッチ」での検証
プロ野球選手と陸上選手のスピードを比較する場として、毎年12月に放送される「超プロ野球ULTRA」という番組の「ULTRAスプリントマッチ」があります。この企画では、陸上と野球、それぞれのトップ選手が50m走で競い合います。
2021年の結果
2021年の大会では、陸上界から桐生祥秀選手や小池祐貴選手が参加しました。一方、プロ野球からは和田康士朗選手(ロッテ)、松原聖弥選手(巨人)らが出場しました。結果は以下の通りです。
順位 | 名前 | 記録 |
---|---|---|
1位 | 小池祐貴 | 6秒065 |
2位 | 桐生祥秀 | 6秒069 |
3位 | 塩見泰隆 | 6秒31 |
4位 | 和田康士朗 | 6秒43 |
5位 | 小深田大翔 | 6秒49 |
陸上選手が圧勝の結果となり、50m走で5秒台を出すことの難しさが浮き彫りになりました。
2022年の結果と改善
2022年にはスタートの形式が統一され、条件が公平になりました。この年は並木秀尊選手(ヤクルト)が陸上選手に迫るタイムを記録しました。
順位 | 名前 | 記録 |
---|---|---|
1位 | 多田修平 | 6秒02 |
2位 | 並木秀尊 | 6秒06 |
3位 | 上山紘輝 | 6秒07 |
並木選手は陸上の上山選手をわずかに上回る結果を残しましたが、やはり5秒台には届きませんでした。
プロ野球選手の50m走ランキング
プロ野球選手の50m走ランキングを見ると、以下のような驚異的な記録が公表されています。
順位 | 球団名 | 名前 | 50m走タイム |
---|---|---|---|
1 | DeNA | 早川大輔 | 5.3秒 |
2 | ヤクルト | 並木秀尊 | 5.32秒 |
3 | 日本ハム | 五十幡亮汰 | 5.42秒 |
これらの記録は非常に速いですが、前述の通り、手動計測の誤差が影響していると考えられます。
プロ野球選手の盗塁数ランキングと足の速さの関係
足が速いことが直接的に盗塁数に結びつくわけではありません。例えば、通算盗塁数1位の福本豊選手は、50m走のタイムが6秒前半と平均的でした。しかし、福本選手は徹底した研究と観察力で盗塁を成功させてきたのです。
福本選手は、試合映像を分析し、投手の癖やリズムを徹底的に研究していました。これにより、投手が牽制するのかホームに投げるのかを正確に予測し、成功率を高めたのです。このように、足の速さだけでなく、観察力や判断力が盗塁成功の鍵となります。
さらに、現代野球ではデータ解析技術が進化しており、選手たちはより詳細な情報を活用して戦略を練ることができます。これにより、盗塁の成功率はさらに向上しています。
足の速さと試合への影響
プロ野球選手の速さは、単に盗塁や50m走の記録にとどまりません。守備範囲の広さや、内野安打を狙う際の走塁技術にも直結します。例えば、外野手が広い守備範囲を持っている場合、チーム全体の守備力が向上します。
また、足の速さは観客にとっても魅力的な要素です。劇的なホームランだけでなく、スピーディーな走塁や華麗な盗塁は試合を盛り上げる重要な要素です。
まとめ
今回の記事では、プロ野球選手の50m走記録の謎やその真偽について解説しました。手動計測の誤差による記録の誇張が見られる一方で、プロ野球選手が持つ優れたスピードとその魅力は確かです。また、盗塁成功にはスピードだけでなく、研究と観察力が重要な要素であることも分かりました。
さらに、足の速さは攻撃だけでなく守備や試合の展開にも大きな影響を与えています。プロ野球選手の多面的な能力に注目し、その奥深さを楽しみましょう。